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  • 2019年度愛知県立大学「グローバル学術交流」公開講演会(11/13)

学術講演会

11/13(水)「グローバル学術交流」公開講演会

太平洋の「かたち」を測る―19世紀アメリカ合衆国における水界地理学の歴史

この講演は終了いたしました

愛知県立大学の教養教育科目「グローバル学術交流」では、

以下のとおり公開講演会を開催します。

この講演会は、どなたでも聴講いただけますので、ぜひお越しください。

太平洋の「かたち」を測る
―19世紀アメリカ合衆国における水界地理学の歴史

講師:遠藤泰生氏

(東京大学大学院総合文化研究科・グローバル地域研究機構教授)

【概要】

私の講義では、陸を取り囲む海に私たちがどのような眼差しを向けてきたのかを考えます。

 古今東西、人類はさまざまの立場から海と向かい合ってきました。少し乱暴に言えば、それは、複数の陸地を「隔てる」広大な水の空間と海を捉える立場と、同じ陸地を「つなぐ」どこまでも続く水の道と海を捉える立場の二つに分けることができます。ただ、そのうちの後者、すなわち複数の陸地を「つなぐ」海に人々が注意を払うようになったのは、歴史上それほど古いことではありません。そして、この講義の鍵ともなっている、世界を「グローバル」に捉える姿勢と「つなぐ」「つながる」という視点から海を捉える姿勢とは、深く絡み合いながら私たちの歴史を形づくってきたと私は思います。そうした「グローバル」に世界を見つめる姿勢が育つ歴史の一端を、19世紀アメリカ合衆国における水界地理学(hydrography)の発展に探ってみようというのが、私の講義の要です。

 話の主人公は二人いて、両方ともマシューという名前を持っています。そのうちの一人は、マシュー・カルブレイス・ペリー(Matthew Calbraith Perry, 1794-1858)であり、もう一人はマシュー・フォンテイン・モーリ(Matthew Fontaine Maury, 1806-1873)です。前者マシュー・ペリーの名前ならば、ほとんどの皆さんが聞いたことがあるでしょう。1853年に浦賀に渡来した合衆国黒船艦隊の司令長官を務めた人です。でも、もう一人のマシューの方は聞いたことがないかもしれません。この人は、アメリカ合衆国の小学生ならば誰でもその名前を一度ぐらいは聞かされる、19世紀のアメリカを代表する科学者の一人で、具体的には1842年に首都ワシントンに設立された海軍天文台(the Naval Observatory)の初代天文台長に就任した人です。この二人のマシューは、年齢こそ一回り異なりますが、世界の海を捉える視点を共有していました。そして二人ともその海を捉える視点を、水界地理学(hydrography)という科学的な知の体系に整理し、その情報を土台に自分たちの国が世界に占める位置を「グローバル」に捉えようと努力しました。少なくとも私はそのように考えています。

 もちろん、「つながる」海を重視して世界の「グローバル」化を語る姿勢には、批判も少なくありません。移民や難民が流れ出る海とこの「つながる」海とは、同じ海のはずなのに、何故あそこまで性格が異なるのか。どうしてあのような暴力的な海が生まれるのか。「つながる」海だけを語って、世界の「グローバル」化を理解したつもりになっていてよいのか。そうした批判的な問いが多くの人々から出されているのです。そうした問題も考え合わせながら、私の講義を進めていくことにします。幼い頃に海で泳ぎ、潮だまりで遊んだ記憶を持っている人も多いでしょう。その海と交わる人類の歴史が「グローバル」な世界の誕生とどう結びつくのか、それを考える機会にこの講義がなるよう努力してみます。

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こちらもご覧ください。

公開講演会:12/4(水)講師:岡本充弘氏
パブリックヒストリーから見たグローバルヒストリー

事前申し込み

必要(先着順)50名

(2019年11月10日(月)15:00必着)

参加費

無料

開催日

2019年11月13日(水)13:00~14:30(予定)

受付開始時刻

12:30(予定)

場所

愛知県立大学長久手キャンパスH棟H203教室
※会場を変更しました、ご注意ください。

交通アクセス

リニモ(東部丘陵線)

「愛・地球博記念公園駅」下車 徒歩3分

講師

遠藤泰生氏

(東京大学大学院総合文化研究科・グローバル地域研究機構教授)

問い合わせ先

愛知県立大学 学術情報部

研究支援・地域連携課

電話:0561-76-8843(電話での申込みはできません)

メール:kenkyu@bur.aichi-pu.ac.jp