准教授

王 天澄

オウ テンチョウ

  • 情報科学部
  • 情報科学科

更新日:2026.05.26

非対称型量子通信方式の性能評価に関する研究

研究キーワード
量子通信、量子センシング、量子計算

研究シーズの内容

私の専門は、量子力学と情報科学とを融合した「量子情報科学」です。最近は、特に量子もつれを利用して、安全性や信頼性の高い非対称型量子通信方式を実現するための理論研究に取り組んでいます。

「量子もつれ」とは、二つの光が強い結びつきを持つ状態を指し、この状態下で片方の光に何らかの操作をすると、その影響はもう片方の光との関係にも及びます。これを通信に応用すると、基地局が生成した二つの光の片方を通信端末に送り、通信端末が光に情報を乗せて基地局に返します。基地局は、戻ってきた光を手元に保持しているもう片方の光と合わせることで初めて正確な情報を取り出すことができるようになり、量子もつれのない光を用いる場合よりも通信の信頼性を高めることができます。もし盗聴者が一方から送られた光を途中で覗き見ると、量子もつれの状態が壊れ、情報が意味を成さなくなるため、通信の安全性も向上します。現在は理論研究の段階ですが、将来的には衛星通信や携帯端末など、幅広い応用先にもこの方式を使えるようにすることが期待されています。

専門分野

量子情報科学

研究者になるきっかけは?

高校時代からSF小説が好きで、よく読んでいました。その中で何度も目にしたのが、「量子コンピュータ」という言葉です。当時は見慣れない言葉でしたが、「これは一体どんなものなのだろう」と強く興味を持ち、科学雑誌などを読んで調べるようになりました。その好奇心が、現在の研究につながっています。

研究内容を大学での教育や、地域・社会にどのように還元していますか?

大学教育では、次世代の情報科学として注目される量子情報科学の専門知識だけでなく、現在の情報科学においても重要な、情報を数理的に扱う考え方、計算機の仕組みを理論的に理解する力、プログラミングやシミュレーションを用いて問題を検証する力を学生に伝えたいと考えています。

量子情報科学は高度な分野ですが、研究に取り組む中で身につく情報科学の基礎知識や論理的思考力は、IT関連企業をはじめ、幅広い場面で役立ちます。学生とともに研究を進める中で、専門分野に限らず、日進月歩で変化する社会において新しい課題に向き合える人材の育成に貢献していきたいと考えています。

学生や高校生にひとこと!

情報科学は抽象的でありながら身近で実用的な分野です。難しく見えるかもしれませんが、疑問を持ち、手を動かして試してみることで、少しずつ面白さが見えてきます。失敗を恐れず、自分の興味を大切にしながら、ぜひ多くのことに挑戦してください。

大学院で学びたい方にひとこと!

大学院は、まだ答えのない問題に向き合う場所です。情報科学の研究では、数学、情報理論、プログラミングなどの知識が必要になりますが、最初からすべてが完璧である必要はありません。大切なのは、粘り強く考え続ける姿勢と、新しいことを学ぶ意欲です。大学院で身につく考える力や学び続ける力は、研究だけでなく、社会に出てから課題を解決する力としても生きてきます。