准教授

黒川 麻実

クロカワ マミ

  • 教育福祉学部
  • 教育発達学科

更新日:2025.05.14

語り継がれてきた東アジアの「読みもの」探究

研究キーワード
昔話/戦争児童文学/教材史/絵本/異文化

研究シーズの内容

昔話は長い長い年月をかけて、人々の語りや書物を介して、現代まで語り、読み継がれています。
その中でも、教科書・読本で、昔話がどのように教材化され、時代によってその中身が変化しているのかを中心に研究を進めています。特に植民地期朝鮮で使用された読本における昔話教材が現代の絵本や小学校国語教科書にどのような影響を与えているのか、「三年とうげ」や「うさぎの裁判」といったお話について掘り下げて検討しています。
昔話のアダプテーションとして、近年の絵本などにおける読み物の「昔話の変化」についても探究しています。加えて、語り継がれてお話の一つとして、戦争児童文学についても取り上げています。
自身が被爆三世であることもあり、今の子ども達にどのような「戦争と平和」のお話を読み広げていくべきか、教材の歴史を踏まえながら、研究を進めています。

研究者からのメッセージ

昔話は、「人々の様々な営み」を捉え、文化や社会の変化を見取る、重要な口承文芸の一つであると考えています。研究対象としてだけではなく、昔話は読み聞かせや児童文化財を介して子ども達がお話の世界を楽しむ一つのツールともなっています。絵本や教材などの読み物について、一緒に考えを深めていけたらと思います。

専門分野

国語科教育研究・児童文学研究

授業の内容と特長

主に保育における領域「言葉」や小学校教科「国語」について、子どもの発達を踏まえながら、どのような遊びや言語活動、児童文化財や教材が「言葉の育み」に効果的かについて講義しています。加えて、教育実習指導や教職実践演習の科目や、全学教養「多文化社会への招待」ではマイノリティや異文化について、絵本を中心に読み解いていく科目を担当しています。
大学院では児童文学論特講を担当し、より研究的な視座から児童文学や国語科教育について掘り下げています。

研究者になるきっかけは?

はじめは小学校の先生を目指して教育学部に進みましたが、小学校国語科教科書や絵本の教材研究を進めていくうちに、「研究って面白い!」と思うようになり、この道に進むことになりました。

研究内容を大学での教育や、地域・社会にどのように還元していますか?

学会での報告だけではなく、市民講座や商業誌などへの執筆・コラム連載などを通して、これまでの「語り継がれてきた」お話の研究成果を公開してきました。「開かれた知」として、今後も自分の研究を広く地域・社会へと還元していきたいと思っています。

学生や高校生にひとこと!

自分が大学生の時、当時の学長が「学問は最高の遊びである」とおっしゃったことが今でも心に残っています。色んなハテナを持ち、それを面白いと思って追及することの楽しさを、ぜひ大学生活を通して感じてもらえればと思います。

大学院で学びたい方にひとこと!

大学院では、一方的な知識の教授に留まらず、「一緒に考え、議論し、深める」ことが何より重要だと考えます。院生生活という旅路を、一緒に伴走し、研究の面白さを分かち合う、そんな一助となりえるような研究指導を心掛けていきたいです。