日本語から見た言語の普遍性の研究
- 研究キーワード
- 指標表現、疑問文、関係節

研究シーズの内容
日本語における疑問文、接続詞、指標表現における統語的意味的研究
日本語は他の言語と比べて、特殊なのだろうか?詳細に研究していくと、日本語で見られる文法現象が日本語と歴史的、地理的に関係のない言語でも見られることがある。このことから人間の話すことばには普遍性の存在を感じざるを得ない。逆に、日本語は多くの興味深い言語現象を示し、言語学全体に対する知見にも大きな貢献をしてきている。このことからもわかるように、他言語を念頭に置きながら、日本語を探求することで、大きな発見があると考えている。
研究者からのメッセージ
生成文法という枠組みで言語学、特に統語論や意味論を研究しています。一見、言語学を研究をしているというと、方言研究とか辞書編纂とか未知の言語の研究だと思われるかもしれませんが、それだけでなく、自分が普段何気なく話す日本語の文をもとに仮説を提唱し、それが日本語だけでなく、他の言語でも当てはまる規則だと分かると、とても興奮します。なぜかというと、それが言語の普遍性だけでなく、人としての特性を理解するヒントになるかもしれないからです。
授業の内容と特長
「英語学研究」などの授業では、主に、統語論と呼ばれる言語学の一分野を教えています。簡単に言えば、人間の話すことばの取りうる語順についての学問と言ってもいいかもしれません。主に、英語と日本語の比較を行います。まったく共通点がないと思われるかもしれませんが、基本的な設計図は同じです。しかし、ほんの小さな違いが、多岐にわたって観察されるので、まったく異なることばと思われていますが、実際は共通点の方が多いことを授業では強調しています。表面的な事実だけでなく、深い考察を経ることにより、英語の理解がより一層深まります。
研究者になるきっかけは?
単純な理由ですが、数学と英語が得意だったので、両者を活用できる学問はないかと思い、言語学を学び始めたのがきっかけです。
研究内容を大学での教育や、地域・社会にどのように還元していますか?
日本語話者が英語を学ぶことは困難なことは事実です。しかし、ことばにまつわる共通性と、ちょっとした相違性を理解することで、英語や外国語の理解が深まるだけでなく、習得にも役に立つことを授業などで伝えています。社会貢献としては、これから生成AIによる翻訳技術が益々進歩すると予測されます。しかし、データを与えることでしか、AIの訓練は行えず、言語学等で得られた知見を直接教え込む手段は、現在はありません。短期的に、AIが間違いを起こさないようなデータを準備するなどの貢献はできるかもしれません。長期的に、言語的知見とAIが融合できる方法が発見されればと期待しております。
学生や高校生にひとこと!
有名大学に入れば、一生安泰という考えは誤りだったことがわかって、久しいです。と同時に、一体何を身につければ、将来活躍できるのかが見えにくい世の中にもなっています。その中で、自分の関心のあることを深めることにより、情報収集能力、問題発見能力、解決能力等を伸ばすのが良いかと思います。その中で、言語学は、あまりお金をかけずに、論理的な思考が身につく学問ですので、ことばに関心のある方は、是非、触れてみてください。
大学院で学びたい方にひとこと!
私の分野で、大学院となると、英語の先生か研究職かになるかと思います。同じことをとことん突き止める性格の人に向いていると思います。