科目区分 | 専門教育科目(日文) | 対象学年(以上) | 1年 |
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科目名称 | 博物館教育論 | 単位数 | 2.00単位 |
講義題目 | 博物館の教育機能 | 曜日・時限 | 水曜1限 |
担当教員 | 小川 裕紀 | 開講時期 | 2020年度前期 |
到達目標 | 博物館における教育活動の基盤となる理論や、実践に関する知識と方法を習得し、博物館の教育機能に関する基礎的な能力を養う。 | ||
授業概要 | 本科目でいう「博物館」は、調査研究に基づき、実物資料によって情報発信する社会教育機関・施設で、総合博物館・歴史博物館・美術博物館(美術館)・科学博物館・動物園・水族館・植物園等の総称である。博物館の情報発信は、具体的形態としては、主に展示事業及び教育普及事業として実施される。広義の「博物館教育」は展示事業と教育普及事業の総体を指し、狭義の「博物館教育」は展示事業を除く教育普及事業を指す。 本科目では、広義の博物館教育について、基盤となる理論を概観するとともに、狭義の博物館教育について、実践に関する知識と方法を総覧する。博物館における教育活動の特質を学び、「教育」「学習」、「学び」「教えること」について理解を深める一助としてほしい。なお、本授業は公立博物館の現職学芸員が担当する、学芸員養成課程科目である。 | ||
授業計画 | 「学びの意義」(第1-2講)、「博物館教育の意義と理念」(第3-5講)、「博物館の利用と学び」(第6-7講)、「博物館教育の実際」(第8-14講)。授業は講義形式を基本とし、授業毎に質問票を配布する。出席者が同票に記載した質問・意見・感想については、講師が次回授業の冒頭で回答する。 第01講 教育学概論1-教育学は「学習」をどのようにとらえてきたか?- 第02講 教育学概論2-社会における教育の役割とは何か?- 第03講 博物館教育概論-博物館が行う教育普及事業の特質とは?- 第04講 博物館教育職制度-法制度における博物館と教育の関係は?- 第05講 事業の計画と評価-なぜ、その事業を実施するのか?- 第06講 博物館体験論1-人はなぜ、ミュージアム・ショップでおみやげを買うのか?- 第07講 博物館体験論2-利用者にとって、ミュージアムとは何か?- 第08講 博物館教育活動の実際-多様な教育普及事業をどう把握するのか?- 第09講 ワークショップ-ケース・スタディ*陶磁美術館・陶芸館- 第10講 ワークシート-ミュージアムにおけるアクティブ・ラーニングのデザインとは?- 第11講 博学連携1-博物館と学校は、どのように「連携」するのか?- 第12講 博学連携2-ケース・スタディ*陶磁美術館と小学校社会科- 第13講 博物館における研究と展示・教育-ケース・スタディ*陶磁美術館と小学校図工科- 第14講 博物館教育の最新動向-「教育普及」現場の現状と行く末は?- 第15講 まとめ(博物館教育の課題と展望) 2018年度本授業各回のレジュメ、ねらいや参考文献等を、『愛知県陶磁美術館研究紀要』24号において公開している(ただし、授業内容は2019年度以降、順次更新している)。 | ||
授業外学習 | 各種博物館の展示を見学して広義の博物館教育について知見を広げるほか、各種博物館の教育普及事業に参加して狭義の博物館教育について体験を重ね、博物館の教育機能について実感的に理解を深めること。県大生は陶磁美術館の展示を、学生証の提示により自由に見学できるので、活用してほしい。 | ||
履修上の注意 | 県立大学に最も近い博物館は愛知県陶磁美術館であり、本授業は県大と陶磁美術館の連携協定に基づき同館学芸員が担当する。なお、文化庁企画調整課の見解では、「博物館概論」(総論科目)を履修の上で、他の博物館各論科目を履修することが望ましいとされている(「改正学芸員養成科目に関するQ&A」QA30)。 | ||
成績評価の方法 | 学期末レポートにより行う(100%)。評価の観点は、「レポート対象館の教育普及事業の全体像や、個別事業の構造等を正確に把握しているか」(知識・技能)、「講義内容を踏まえた分析・考察が行われているか」(思考力・判断力)、「レポートとしての構成力、文章力があるか」(表現力)。いわゆる「学力の三要素」-知識・技能、思考力・判断力・表現力、関心・意欲・態度(主体的に学習に取り組む態度、以下本項では「意欲」)-のうち「意欲」については、本授業においては知識の習得を通じて生じるものととらえ、知識・技能等の観点に含めて評価する。 本授業において「平素の学修」として重要な意義をもつのは、各種博物館の展示見学と教育普及事業への参加を通じて、各授業の内容―博物館の基盤となる理論や、実践に関する知識と方法-について実感的に理解を深めることであり、その学修こそがレポート対象館の選択から事実の把握・報告、分析・考察へと直接的に繋がっていく(この過程で形成される、学びに向かう姿勢が「意欲」である)。本授業では毎回、レポート執筆上の留意点等について指導するので、学芸員課程の他科目で作成したレポートの流用は推奨できない。 | ||
教科書 | なし。原則として、毎回レジュメを配布し、参考となる資料類を適宜添付する。 | ||
参考書 | 本科目は「博物館法」(第五条)、「博物館法施行規則」(第一条)、「図書館法施行規則の一部を改正する省令及び博物館法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)」(Ⅱ2(1)、別添3)に基づいて実施する。2018年度に実施した授業の概要-各回のレジュメ、ねらいや参考文献等-を、『愛知県陶磁美術館研究紀要』24号において2019年3月末から公開している(ただし、授業内容は2019年度以降、順次更新している。なお、『同』19号に収載の講義ノートは、2012・2013年度の授業概要をまとめた旧稿である)。 上記法規に基づき各地の大学・学芸員養成課程に「博物館教育論」が設置された2012年頃から、同科目授業における教科書ないし参考書としての利用を目指して国内出版社より刊行された書籍で、タイトルに「博物館教育論」の語を含むものが複数あり、特に複数人によって執筆された編著書は、様々な館種における教育普及事業の事例、動向や主流となっている考え方を把握する上では参考となる。 |